野犬を餌付けして保護した話1

北海道に引越したのは昨年の夏でしたが、引越し直後から一つ熱心にやっていたことがあります。

それは野良犬を餌付けして捕獲、保護すること。

酪農地帯で住宅密集地でなく、牧草地と小さな森の続くこの辺りには、野犬がかなりの数いるようです。

うちの牧場にも冬から野犬の子犬が四匹きていて、ロスになる牛乳をあげたりしていたそうです。そのうちの一匹がこのチョコちゃん。わたしが引越したときにはもう大きくなっていました。

チョコちゃん

そして夏からまた違う子犬が四匹現れて、そのうちの一匹がミルクちゃん。

チョコちゃんたちも、ミルクちゃんたちも、それぞれ兄弟姉妹とおぼしき同じ大きさの黒二匹、茶色二匹の犬たちでした。

つまり大きいの四匹、小さいの四匹の、計八匹の野良犬が付近をうろうろしていたのでした。これに餌付けして、人に慣れさせて、なんとか捕獲、保護しようとしていました。

牛乳が好きだからミルクちゃんと呼ぶことにしました

野良犬なんて都会では今はほとんど見かけないので分からなかったのですが、野良犬というのは見ているとずいぶんかわいそうなのです。

人や物音に怯えて吠え、餌をもらっても盗み食べるようにしてすぐ逃げる。

餌があっても人が手を伸ばしたら触れるようなところまでは近づきません。

野良犬といえども、普通の飼い犬と同じようにみんな可愛いお顔をしています。

はじめからちゃんとした飼い主がいれば、たくさん可愛がられて大切にされて、安心して暮らせるのになと、不憫で仕方ないです。

なぜ野良犬がいるのかと原因を考えると、捨てられてしまった犬、飼い主の管理が悪く逃げてしまった犬、野良犬が繁殖…等が考えられ、全ては人間のせいなのです。

野犬になってしまったがために、夏の暑さ、冬の寒さ、飢え、不安、恐怖…そんなものを抱えながら、野犬同士で集まって餌を求めてあちこち歩きまわりながら生きているんだろうと思います。そして追い詰められると凶暴化し、集団で家畜や人間を襲うようになるそうです。そうするともう、ハンターが出動せざるを得ない。もとは人間のせいで野犬になってしまったというのに。

適切な環境で育てば、人が大好きな可愛いわんちゃんになるのに。

そんなわけで捕獲作戦ですが、餌を仕掛けた捕獲檻には、賢い犬たちは全くかかりません。近くに寄ってきたからといって捕まえようとすると当然逃げます。子犬でも走って逃げられると人間の足では追いつけません。

これは力ずくよりも餌付けして懐かせるほういいだろうと考え、犬を見かける度に餌をやりました。

ドッグフードを一粒ずつ、段々と私の近くへ来る様に投げてやりました。それを根気よく繰り返しました。人の近くに来ても怖くないと教えてあげるように。

そんな野犬たちの中で、いちばん懐いてくれたのがチョコちゃんとミルクちゃん。一ヶ月くらいそんな調子で餌をやり続けていたら、手から餌を食べてくれるようになりました。

飼い犬のムートンさんは、大きくて白くてもふもふの毛の去勢済みのオス犬ですが、とてもフレンドリーな心優しいわんこなので、野良犬の子犬たちを引き連れて散歩したりしていました。

ムートンさん、チョコちゃん、ミルクちゃんの三匹で親子かのように遊んでいて、微笑ましく見ていました。

 

このまま餌をやり続けて信頼関係を築けば触れるようにまでなるかしらと思いきや、なかなかそうはいかず、どうしたものかと困っていました。

そうしているうちに、なんだかチョコちゃんのお腹が張っているような…。ミルクちゃんや他の犬たちにも当たりが強くなってきて…。もしやこれはまた子犬が産まれるのでは…!?

それで、何度か子犬を捜索を試みるも、探すと見つからないものなんですよね。ふとした時に現れる。神出鬼没なの。

そして2020年11月18日、牧草ロールの間に挟まって抜けなくなって鳴いている子犬を発見!捕獲!生後一ヶ月くらいの赤ちゃんでした。

はじめて見る犬の赤ちゃんが可愛すぎて私メロメロ♡♡♡

震えてたのでスポイトでミルクあげて、だっこしてたら眠ってくれました。

名残惜しくも野良犬の保護団体へ引き渡しまして、ポッケという名前になりました。

 

ポッケの色柄がチョコちゃんとよく似ているので、これはチョコちゃんの子に違いない!チョコちゃんをなんとしても早く捕獲しなければ!と決意。捕獲作戦を決行しました。

ムートンさんはいつも子牛のいる牛舎でドッグフードをもらうのですが、よく食べ残すので、それを食べにミルクちゃんやチョコちゃんが牛舎に入ってくるようになっていました。その牛舎でチョコちゃんに餌をたっぷりやり、夢中で食べてる間に扉を閉めて密室にし、捕獲しようという作戦。

11月23日ついにチャンス到来、これを逃してはならぬと作戦決行。チョコちゃんが餌を食べてるところへ、追加で餌を投げつつ食べてる背後に回り、扉を塞ぐ様に座る(扉を閉めるのにもたもたしてると足の隙間から逃げてしまうため)。この時点で犬は不審に感じ牛舎の奥へ逃げます。電話で応援を呼び、捕獲檻を持ってきてもらい、扉に挟んで檻を設置。これで入ってくれないかなと思うも、全然牛舎の中を逃げ回っているので、魚釣り用のタモ網を使い角に追いやる。最終的には大人三人で角に追いやったあと無理矢理檻に入れました。

チョコちゃんには、手荒な真似して、怖い思いさせてしまって、本当に申し訳なかったです。

檻の中でずっと吠えていて、怖いんだろうなと切なく、また、こんなに吠えている犬だと保護してもらえないのではないかととても心配でした。

しかし翌日、保護団体がポッケとチョコちゃん親子共に引き取ってくださり、本当に感謝しかありませんでした。野犬のチョコちゃんは、保護犬のミナちゃんになりました。

ポッケが最初に捕まったくれたおかげチョコちゃんも保護できました。ありがとう。神様っているね。

https://youtu.be/bKWJBabPzso

 

ところでチョコちゃん捕獲作戦の最中、不用意に手を出してしまった私が噛まれてしまい、祝日だったので救急で病院に行きました。手を出しちゃだめだし、ゴム手袋じゃなくてちゃんと革の手袋はめてなきゃだめでしたね。でも傷口は全く浅く、知ってる人だったからそんなに強く噛まなかったのだろうと思います。優しい子です。

病院では、傷口は消毒よりもまずとにかく徹底的に水で洗い流すと教えられました。そして破傷風菌の予防接種をしました。土の中にいる菌で、例えば畑仕事中に手を切ってしまったりすると感染する可能性があるとのこと。飼い犬でも、土を掘ったり食べたりするので、感染してることがあるとのこと。なるほどこのタイミングで予防接種できてむしろよかったかもと思ったのでした。

ちなみにこの、油断させて密室へ…というのは人攫いの手法と同じだとのちに友人に言われました_:(´ཀ`」 ∠):

続く。